不揮発性メモリー

最先端の材料・デバイス研究による、待ち時間の少ない不揮発性メモリーのイノベーション

CPUがアクセスするメモリーとして、現在SRAMとDRAMという2つの異なる技術が使用されています。どちらも揮発性メモリーであることから、停電時や電源が切れた場合は保存したデータが失われます。不揮発性の新しいクラスのメモリー(永続性またはストレージクラスメモリー、SCM)は、電源を失ってもデータが消えることがないメモリーとして、研究・開発されました。

ストレージクラスメモリー

メモリーセルの待ち時間は、CPUが要求したデータがCPUに返されるまでの時間を示すものです。待ち時間はアプリケーションやユースケース、プロセッサやメモリーのアーキテクチャによって変化します。一般に、DRAMの待ち時間は15~100ナノ秒、NANDは80~120マイクロ秒といわれています。この待ち時間の差が、「SCM」(ストレージクラスメモリ)のターゲットとなります。

一部のSCMや待ち時間の少ない不揮発性メモリーにはDRAMと競合する設計もありますが、MRAM(磁気抵抗ランダムアクセスメモリー)はその一例です。PCM(相変化メモリー)またはReRAM(抵抗変化型ランダムアクセスメモリー)などの技術でも、DRAMとSSDの間に待ち時間が発生します。その他の技術やメモリーセルの設計については、文献に記載されており、世界中のさまざまな大学や研究所で新しい革新的なセルの研究が行われています。

不揮発性メモリーへのWestern Digitalの取り組み

Western Digitalの研究チーム内のNVMグループでは、すべてのNVMメモリーセル候補の設計を評価しています。 

メモリーセルはデータを保持するだけでなく、商業的に許容される期間、データを保持しなければなりません。セルの速度はSCMの対象となる待ち時間に収まる必要があり、セルの寿命はSCMの要件を満たす必要があります。また、データストレージ市場で競争するには、現在のシリコン製造装置で製造可能なセルで、かつ、より小さなノードに拡張可能な技術でなければなりません。 

このミッションを達成するためには、NVMチームは既存および新規の材料を調査してメモリーセルを製造し、その後それらのセルをテストしたうえで、SCM NVMセルの対象となる仕様に照らしてセルの特性を評価する必要があります。 

有望なメモリーセル技術には最適化が欠かせません。最初の検査でセルが仕様を完全に満たすことはなく、有望なセルについては最適化(材料、製造プロセスなど)が必要になります。さらに、この技術がスケーラブルであるかどうかを判断するために、サイズごとのセルの特性の変化も調査する必要があります。 

適切なメモリーセルが特定されると、NVM研究チームはWestern Digital内の他のチームと協力して、その技術を製品化し、製品に使用するための要件を調査します。そのためには、オペレーティングシステムへの統合から、新しいテクノロジーを生産するためのラボ構築まで、さまざまな努力が必要です。

Western Digitalのナノスケールのラボ

これらの目的を達成するために、当社の研究機関はストレージやメモリーの業界では珍しいナノスケールのラボを構築しました。

このラボは、ナノスケールデバイスのための新しい材料を製造、研究、開発するための薄膜形成ツール、パターン形成ツール、特性評価機器、モデリング機能を備えています。

これらの材料をパターン化し、他の材料と重ね合わせて、ナノスケールのデバイスやテスト回路を作ります。これらは、すべて同じ研究室で行われます。また、電気特性評価ツールでも別のテストが行われ、材料開発、デバイス設計、製造、テストのサイクルが完成します。

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